ALSの在宅介護は、家族の努力だけで続けるには限りがあり、限界が来る前に夜だけ看護師に頼る選択肢を知っておくことが大切です。「できるだけ自宅で看たい」「でも、このまま続けられるだろうか」。そう感じながら、毎日の介護を担っているご家族は少なくありません。
この記事では、在宅介護が家族に重くなる理由と、限界を迎える前に出るサインをお伝えします。あわせて、入院や施設がすぐ見つからない現実と、日中は保険のサービスで夜だけ自費の看護師で補う選択肢も解説します。
この記事でわかること
- 付きっきりの介護を家族だけで続けられる範囲には限りがあること
- 在宅介護が家族に重くなる理由
- 家族が限界を迎える前に出る4つのサイン
- 日中は保険、夜だけ自費で補う使い方と、余裕のあるうちに相談先を知る意味
家族だけで続けられる範囲には限りがある

付きっきりの介護には、ご家族だけで抱え続けるのが難しくなる時期が来ます。
ALS(用語:筋萎縮性側索硬化症)は、手足やのど、舌、呼吸に必要な筋肉が、だんだんやせて力が入らなくなる病気です。一方で、体の感覚や視力・聴力、内臓の働きは保たれるのが普通とされています。※1
気管切開をして人工呼吸器を使う場合も、基本は在宅での生活です。※1
私は、一生懸命に向き合うことそのものは、とても大切だと思います。
ただし、ご家族にも、仕事や子育てなど、それぞれの役割と生活があります。病気のご本人も、家族が疲れ果てることを望んでいません。
ALSの在宅介護が家族に重くなる理由

ALSの在宅介護は、家族の負担がとくに重くなりやすい介護です。以下の2つの面から整理します。
意識がはっきりしたまま続く付きっきりの対応
ALSでは、栄養の注入やおむつの対応など、毎日の生活を支える付きっきりの対応が欠かせません。
ALSの方は、動くことが難しくなり、人工呼吸器や栄養注入が必要になることがある一方で、意識ははっきりしているのが特徴です。栄養補給は、お腹から胃に直接管を通す胃ろうが一般的とされています。※1
ただし、認知症状がみられる場合もあるとされます。※1
こうした対応は、昼夜を問わず続きます。仕事や子育てと両立しながら家族だけで担うのは、簡単なことではありません。
吸引や呼吸器の管理には看護師が必要になる
吸引や呼吸器の管理は、医療的な知識と技術が求められるケアです。
気管切開(用語:のどに小さな穴をあけて、空気の通り道をつくる処置)をして人工呼吸器を使う場合は、定期的な痰の吸引が必要になります。※1
ヘルパーや家族が担えるのは一部にとどまるため、夜間も、24時間の見守りが必要な場合も、看護師が入る必要が出てきます。
家族が限界を迎える前に出る4つのサイン

限界の手前では、睡眠や食事、気持ち、自らの生活に、はっきりとした変化が表れます。
ここで挙げる以下の4つは、重度の在宅介護を担うご家族について、私が大切だと考えているサインです。
睡眠と食事が取れなくなる
眠れない日や、食事が喉を通らない日が続くとき、心身はすでに限界に近づいています。
睡眠や食事は、体を休めて整えるための基本の時間です。そこが削られ続けると、介護を続ける力そのものが落ちていきます。
少し話すだけで涙があふれる
特別なことがなくても、少し話しただけで涙が出てくるのは、気持ちの余裕が尽きかけている表れです。
普段は保てている気持ちの張りが、ささいなきっかけで崩れやすくなっている状態です。
自らのことができなくなる
「もう無理だ」と感じているのに、あれもこれもと求められ続け、自らのことまで手が回らなくなっていきます。
自らのための時間まで後回しになり、ご家族が自らの生活を保てなくなると、在宅の介護全体が不安定になるのです。
自分を責める考えが止まらなくなる
自分は悪い人間なのではないか、とまで考えてしまう状態は、かなり疲弊したサインといえます。
ここまで来ると、ご家族は頑張っているのに、自らの足りなさばかりが目につくようになります。そう考えてしまう前の段階で、少し休む手立てを持ってください。
限界の先の入院や施設がすぐ見つからない現実

家族が限界を迎えても、入院や入所の受け入れ先が、すぐに決まるとは限りません。以下の2つに分けて整理します。
レスパイト入院で一時的に家を離れる選択
レスパイト入院(用語:介護する家族の休息のために、一時的に入院して療養すること)は、家族が休むための選択肢の1つです。
例えば東京都には、在宅の難病の方を対象にした「在宅難病患者一時入院」という事業があります。介護者が療養や休息、冠婚葬祭などで一時的に介護できなくなったときに、短期の入院を実現する仕組みです。※2
1回の申込みで入院できるのは最長1か月間で、年度内90日の限度内であれば繰り返し利用できます。申込みは、お住まいの地域を管轄する保健所などで受け付けています。※2 利用の条件や内容は自治体によって異なるため、お住まいの都道府県や保健所に確認してください。

ただ、ご本人は自宅で過ごすことを望むことが多く、結果として家族が一生懸命に介護を続けてしまいます。
入院や入所が決まるまでのつなぎが必要になる
家族が限界に来たときの行き先は、入院か施設になりますが、決まるまでには時間がかかります。その間をつなぐ手立てが必要です。
そこで出てくるのが、自費の看護師です。家を一度離れる前の「入院・入所までのつなぎ」として夜に入り、家族が眠れる時間をつくる使い方があります。
日中は保険のサービスで夜だけ自費で補う

日中は保険のサービスが支え、夜だけ自費の看護師が入る形なら、家族が休める時間をつくれます。以下の3つの視点で整理します。
日中は医療保険と介護保険のヘルパーで賄う
日中は、医療保険の訪問看護と、介護保険のヘルパー(訪問介護)で賄う形が基本です。
ALSは、国が定める「厚生労働大臣が定める疾病等」に含まれており、訪問看護は介護保険ではなく医療保険での利用になります。※3 対象になるかは、疾病や状態を見たうえでの個別の判断です。
私の経験では、見守りが必要な方は、日中は保険のサービス、夜は自費という組み合わせがもっとも多くなります。これはALSに限らない、重度の見守り全般の話です。
夜を翌朝まで看護師に任せて家族が休む
夜の時間を翌朝まで看護師に任せると、家族は安心して眠れます。
あらかじめ計画した夜の訪問として、看護師が入ります。吸引や呼吸器の管理が必要な場合の対応は、ご本人の状態や医師の指示によって変わるため、事前にご相談ください。24時間ずっと入る形ではありません。
費用がかかるため夜の数時間に絞る形が多い
費用がかかる分、夜の数時間など、必要な時間に絞って使うご家庭が多くあります。
余裕があるうちに相談先を知っておく意味
限界が来る前の余裕があるうちに、相談先と使えるサービスを知っておくことが、暮らしを長く守るお守りになります。以下の2つの理由があります。
限界のなかでは視野が狭まり目の前のことしか見えない
追い詰められている最中は、先のことを考える余裕がなくなり、目の前のことしか見えなくなります。
そのため、何かあってから相談先を探すのは、とても大変です。最初から相談先やサービスを知っておくだけで、いざというときの動きやすさが変わります。
ALSの在宅療養の相談先には、ケアマネジャー(用語:介護サービスの計画を作る専門職)が挙げられています。ほかに、都道府県の難病相談支援センターや地域の難病拠点病院も、相談先になるでしょう。※1

相談は恥ずかしいことではない
助けを求めることは、弱さではありません。
ご家族のケアを一番に考えなければいけない、と私は考えています。一生懸命に向き合うほど、ご自身の生活は後回しになりやすいです。何かあれば、遠慮なく相談してください。
家族が休める夜の選択肢を相談してみませんか?
夜だけ看護師に入ってもらう形が合うかは、ご家族の状況によって変わるものです。使い方は、看護師に直接ご相談いただけます。
私たちロイヤルナースは、東京23区・多摩地域、神奈川(横浜・川崎・鎌倉・大和)で、自費(保険外)の訪問看護「ロイヤルケア」を提供しています。お電話(0120-051-551)で、ご家族が休める夜のつくり方をお聞かせください。
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